メタルヒーローDVDコレクション 創刊号表紙
(※画像は公式サイトより:以下同様)

テーマとなる作品や事柄の解説と、作品DVDやテーマに沿ったキットの分割パーツ、小物などがセットになった分冊百科(パートワーク)シリーズ。デアゴスティーニとアシェットの2社が有名ですね。三月兎之杜ではこのデアゴスティーニのシリーズの買取にも力を入れており、これまでも多数の分冊百科シリーズおよび付属アイテムをお譲りいただいております。

その中から今回は、現役シリーズであるデアゴスティーニの「メタルヒーローDVDコレクション」をご紹介します。2023年2月14日よりリリース開始。隔週刊ペースで本編3話ずつと、作品概要や各話解説、各種データベースを収録した解説書のセットを展開しています。


現在展開しているのはシリーズ最初期作品となる宇宙刑事三部作。もちろん反響によっては『巨獣特捜ジャスピオン』以降も期待できるのではないでしょうか。

メタルヒーローDVDコレクション第2号表紙

「メタルヒーローシリーズ」は、1982年に放送を開始した『宇宙刑事ギャバン』に始まる、メタリックスーツに身を包んだヒーローが登場する作品群をさしています。現時点での最終作品は1998年の『テツワン探偵ロボタック』まで。時間帯は当初は金曜夜でしたが、やがて月曜夜、そして日曜の朝に移動。戦隊シリーズや東映女児向けアニメと合流し、いわゆる「ニチアサ」の時間帯を形成していくことになります。

特に今回ピックアップされた宇宙刑事3部作は、発表時に対象年齢となる未就学児童から小学生はもちろん、高校・大学生や社会人など高い年齢層に至るまで、その映像の完成度と内容に引き込まれました。

それまでの変身ヒーローは、いわゆる全身タイツにヘルメットの戦隊ものや、モチーフとなる動物やテーマがくっきり反映された仮面ライダーやそのほかの石ノ森ヒーローたちでした。しかし宇宙刑事ギャバンは全身シルバーメタリックの「コンバット・スーツ」を着用。変身プロセスに対しても詳細な解説が毎回行われるなど、明らかにそれまでのヒーローより一段踏み込んだ領域にありました。

メタルヒーローDVDコレクション第14号表紙

当時自分はガンプラに夢中だった頃だったと思うのですが、その視点もあり『ギャバン』に対しては『機動戦士ガンダム』に端を発した「リアルもの」ブームが、実写特撮の世界にも波及したのだなと感じました。先述の変身に対する設定はもちろん、毎回クライマックスの戦闘をなるべくセット内で行うために生み出された「マクー空間」なども同様でしょう。

しかしマクー空間のアイデアは、予算節約と同時にグラスワークによる異世界美術や、フィルター越しに撮影される市街地と虚無僧、時代劇セットでバイクを駆る鎧武者といった異質な組み合わせなど、映像作品としても特筆すべきシーンの数々を生み出します。そして何よりJAC(ジャパン・アクション・クラブ/現:ジャパン・アクション・エンタープライズ=JAE)出身で自ら危険なアクションを演じる主演の大葉健二の身体能力が、文字通り目の離せない30分を生み出しました。

メタルヒーローDVDコレクション第15号表紙

続く『宇宙刑事シャリバン』は、ギャバンとコンセプトを同じくしつつ、より迫力のある映像を実現。さらにストーリー面でも主人公・伊賀電の出生にまつわる秘密が明かされていき、故郷の星の復興への道が縦糸となって描かれます。伊賀電を演じる渡洋史は、ワイルドさあふれる大葉とは一転したスマートなイメージながら、コンバット・スーツ同様の熱く燃える心を内に秘めた主人公を演じました。

メタルヒーローDVDコレクション第28号表紙

現在(記事執筆時:2024年3月)この分冊百科シリーズは『シャリバン』の終盤に差し掛かったあたりです。翌年の『超電子バイオマン』に初代イエローフォーとして登場する矢島由紀が、イガ星の戦士ベル・ヘレンを熱演している頃でしょうか。本記事のあとの『シャイダー』から集め始めていただいてもいいかもしれません。

メタルヒーローDVDコレクション シャイダー紹介ページより

そして第3作『宇宙刑事シャイダー』は、前2作とは雰囲気を変え、新人宇宙刑事2人の物語となります。主演の円谷浩は日本特撮の重鎮・円谷英二の孫であり、円谷一の息子です。前2作の主人公と異なりアクション畑の出身ではありませんが、その分パートナーであるアニー役のJAC女優・森永奈緒美が見事なアクションを見せてくれました。敵組織フーマも武力での征服ではなく人間の心の隙をつくという作戦をとり、劇中でかかる「不思議ソング」とあわせ、シュールなイメージの映像を生んでいきました。

『ギャバン』『シャリバン』は相互にゲスト出演がありましたが、『シャイダー』は銀河連邦警察のコム長官などは登場するものの、前2作の主人公は本編には登場しませんでした。そのため『シャイダー』最終話の後に特別編を放送。3人の宇宙刑事が地球に集結し、「地球の子供たち」の夢でもあった3人揃っての「蒸着」「赤射」「焼結」を見せてくれました。シャイダー:沢村大役の円谷浩は2001年に亡くなられたため、それが最初で最後の宇宙刑事揃い踏みとなってしまいました。このシャイダー第49話「3人の宇宙刑事ギャバン シャリバン シャイダー大集合!!」も、もちろん今回のDVDコレクション最終号に収録予定です。

古書店三月兎之杜では、デアゴスティーニの買取をお待ちしております。今回ご紹介したDVD付属シリーズや、大型キットパーツ同梱ものなど、各種シリーズ買取しております。シリーズコンプリートの場合は未組み立て・組み立て済を問わず査定額アップ! もちろん途中までや途中から、欠号ありなどの場合でも喜んで買取させていただきます。まずはご相談ください!

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投稿者:taguchi

オステオパシー関連書籍 トップ画像

19世紀にアメリカのアンドリュー・テーラー・スティル博士が創始した『オステオパシー』に関する書籍をお譲りいただきました、ありがとうございます。

オステオパシーは医療哲学の一つの体系です。日本では導入当初の大正期には「整体術」「整骨療法」とも呼ばれ、実際の施術も整体行為に近いものがあります。ただしオステオパシー自体は先述の通りあくまで人体に対する考え方の一つであり、施術そのものを指すものではありません。オステオパシーは身体・精神・魂を一つのユニットととらえることに始まります。構造と機能が相互に関係していることを認識し、筋肉や骨、循環器など、身体構造を解剖学的にとらえ、人間の持つ自然治癒力を高めあるいは回復させる、その考え方がオステオパシーに当たります。

オステオパシーの理論をもとに行われるのが、いわゆるマッサージであったり整体であったりするわけです。また、国家資格である鍼灸師の方がオステオパシーの理論を採り入れているケースなどもあります。痛みを感じる部位を直接施術(直接法)するだけでなく、身体全体の筋膜・骨格・血管・内臓・神経・リンパが影響しあっているという観点から施療していきます。痛みを感じる部位に影響(ストレス)を与えている箇所を経験や知識をもって見極め、その器官を刺激したりリラックスさせていきます(間接法)。つまり「オステオパシー」に基づき「整体・整骨」や「マッサージ」「はり」「灸」その他の施療が行われると考えた方がいいかもしれません。

「ストレイン&カウンターストレイン」もオステオパシーから生まれた間接法的テクニックの一つです。緊張して悪影響を与えている筋と拮抗的な筋のバランスが崩れると痛みの原因となります。緊張した筋肉の部位を最大限緩め、拮抗した筋肉のバランスをとる手法がストレイン&カウンターストレインです。ただしその緊張を緩めるポイントをさぐるためには優れた触診力が必要なため、今回のように専門書による知識と経験が必要となっていきます。

アメリカにおけるオステオパシーは正規の医師による医行為とされ、西洋医学医師と同等の第一職業学位を有する必要があります。イギリスやオーストラリアなどでも施術者は学士号や修士号を習得しています。日本では整体やカイロプラクティックと同様に無資格・無届の医療類似行為に該当します。ただし日本オステオパシー連合による「MRO(J)」という、筆記や実技によって一定以上の知識と水準を持つと認定する資格も存在します。

日本ではあくまで代替医療ですので利用についてはよく調べることが必要です。ただしオステオパシーに基づく施術は愛護的なものが多く、患者に深刻な危害を与える可能性は低いといわれています。また、先述のMRO(J)の認定をある程度の目安として、選択肢の一つとして検討するのもいいかもしれません。

日本でもすでに100年以上の実績を持つオステオパシー。その専門書を必要とする新たな世代の方がいらっしゃいます。古書店三月兎之杜では、カイロプラクティック書籍の買取ご相談をお待ちしております。

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『日本古写経集成』ほか割本折本大量セット計55冊 トップ画像

現代では仏教経典の写経といえば心の平穏を得る手段として、観光地の仏寺などで行うことができますね。もともとの写経じたいも修行のための信心行為として以外にも、書道の手本として広く使われてきました。

今回お譲りいただきました中の『日本古写経集成』は、そうやって昔から書道の手本として使われてきた写経書を集めたものです。歴代の書に長けた人物による写経が多数含まれています。

『日本古写経集成』-『光明皇后發願一切経佛名経』

例えば第五巻の『光明皇后發願一切経佛名経』(写真上段中央)は光明皇后による手と伝えられているもの。聖武天皇の皇后として700年代に生きた人物ですね。書には書いた人物の人柄も映し出されるといいますが、歴史上の人物の人となりに触れられるかもしれないものが伝わっているのは素晴らしいですね。

藤原佐理・藤原行成

このほか平安時代の公卿で三跡とも呼ばれた藤原佐理と、現在(記事執筆時2024年3月)放映中の『光る君へ』の主人公・紫式部と同時代を生きた藤原の行成の真蹟帖(写真下段左から2番目)。筆跡や碑文を手本・鑑賞用に複写してきた法帖およびその研究書もお譲りいただきました。

集字聖教序

『王義之 集字聖教序』(写真上段、右から2、3冊目)は、玄奘法師の漢訳事業を称える太宗の序文と、高宗の序記に般若心経を加えた、碑に刻んだものの写しとなります。唐代には太宗の肝いりで王義之の書が蒐集されていましたが、この碑を建てた弘福寺の僧懐仁は、宮中に所蔵されていた王義之の墨跡から文字をピックアップし、石に写しました。

そのため集字聖教序は、王義之の書いた真蹟にかなり忠実な文字であるとされています。石に刻まれたことで原版として利用され、現代に残されたわけですね。事実、書の専門家の目から見た『集字聖教序』の文字たちは、王義之のリズミカルで品位の高い筆づかいを感じることができると評価されています。

『日本古写経集成』ほか割本折本大量セット1
『日本古写経集成』ほか割本折本大量セット2

そのほか北宋時期の拓本集、清朝末期の書家・呉熙載(呉譲之)の書など、文字通り古今東西・日本と中国の幅広い時代の書の手本だった55冊です。貴重な書物をありがとうございました。

古書店三月兎之杜では、各種書道関連書籍の買取ご相談をお待ちしております。書道の手本帖は古いものも多く(実際今回お譲りいただいた55冊は昭和時代のもの、昭和初期初版のものもございました)、保管状態も様々かと思います。大量の場合は直接ご自宅に伺う出張買取も対応しております。まずはご相談ください。

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『中国真蹟大観』全27冊揃 トップ画像

王義之(303-361)や欧陽詢(557-641)といった伝説級ともいえる歴史上の人物から、明代の王鐸(1592-1652)、そして清朝末から近代中国で活躍した呉昌碩(1844-1927)まで! 中国書史にその名を連ねる歴史上の人物たちが、実際に書いたと認められている筆跡を一挙に集めた『中国真蹟大観』全27冊揃をお譲りいただきました、ありがとうございます!

全27冊の配分は、やはり現存の書が多い最近の王朝の比率が多くなります。呉昌碩が活躍した清代が27冊中13冊、王鐸が生きた明代が27冊中8冊を占めていますね。

『中国真蹟大観』全27冊揃 各巻表紙

王義之の書を多く収録しているであろう晋・唐・五代は1冊にまとめられていますが、むしろ西暦300年代の書が現代まで伝わっていることに驚かされます。書の芸術性を確立させたことで書聖とまで称された王義之の真蹟は、唐の第2代皇帝にして文治政治にも力を入れた太宗(李世民)が好んで蒐集したものがベースとなっています。唐代以降も繰り返された後の戦乱で王義之直筆のものは失われたとされていますが、太宗のコレクションが石版や木板に模刻されたおかげで現代まで伝えられました。

以降の中国王朝でも清の乾隆帝など、王義之の書のファンは多かったようです。もちろんそうした文化保護に熱心な時の権力者のおかげで、王義之以外の書も長く保全されてきたのでしょう。本書を発行した同朋舎や、同様に中国や日本の書道関連書籍を発行する二玄社など、過去の筆跡や書史を語り継ぐ出版社、そしてその書籍を所有してきてくださった皆さん、歴代皇帝と同様に文化を次代に残す役割を担っているといえるでしょう。そしてこうした書の本を人から人への橋渡しをお手伝いする弊社もまた、その一端で何らかの力になっているはずと自負しております。

古書店三月兔之杜では、各種書道関連書籍の買取のご相談をお待ちしております。書籍関連は図版も多くサイズが大きくなりがちなため、全巻揃いなどの場合はかなりのボリュームとなりがちです。そうした場合も出張買取を行っておりますのでご相談ください。まずはご連絡を!

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1996年から2000年にかけて刊行された書道誌『書の宇宙』全24冊をお譲りいただきました、ありがとうございます!

古今東西の美麗な書を高品質な図版にて収録することで、「書の姿」そのものが表現する宇宙を再発見する試みを実践しています。いわゆる原始時代の甲骨文字や石刻文にはじまり、中国としていくシリーズです。

書に関する全ての問いかけにこたえようとする石川九楊による「書の宇宙」「図版+干渉のポイント」「この書をこう見る!」、人の心と手の軌跡である書の中に人間のドラマを見出す草森紳一の「心と手、心の手、手の心」、日中の書論を軸として、それぞれの時代の書を検証する福田哲之、大野修作、古谷稔「書と書論」、漢字文化圏の諸相を解説する硯学の寄稿「東アジアの時空」などの、深く書の在り方を追求する記事で構成されています。

その傍ら、本書では謙虚な書の「シロート」の味方として、夏目房之介がコラム「筆線の狩人」を担当。この時期の夏目は漫画評論家として、漫画の描画テクニックやコマ運びに着目した分析手法を採用していました。そうした夏目の技術的な表現技法への着目に対し、本書の主筆である石川九楊は書に対する分析方法との類似性を指摘し、高く評価していました。
夏目は書の専門家とは異なる視点からの切り口で、例えば第1冊のコラムは「イタズラ描きの記憶」第3冊「木簡はカラオケである」第5冊「曹全碑のあだな寝姿」など、いい意味で俗っぽく、読んでみたくなるユニークなタイトルが並びます。

24冊全て初版、帯付きのものもあり、大事に保管していただけたことが窺えます。古書店三月兎之杜では、各種書道関連書籍の買取をお待ちしております。

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大石凝霊学全集 トップ画像

天保年間に生まれ、大正初頭に没した国学者・大石凝真素美の全集(全3巻揃)をお譲りいただきました、ありがとうございます。

大石凝は言語論、宇宙論、進化論を含む霊学体系に基づいた神秘的な学説を唱え、同時代に生き鎮魂帰神学を提唱した本田親徳と並ぶ古神道復興と神道霊学成立の二大源流とされています。

大石凝霊学全集 中トビラ

事実、彼らより後に登場した出口王仁三郎と大石凝は直接の交流を持っております。また、天行居の友清歓真、神政龍神会の矢野祐太郎、生長の家の谷口雅春、日月神示の岡本天明、世界救世教の岡田茂吉、真光文明教団の岡田光玉など、多くの神道系宗教家の教説の中に、大石凝の影響が認められています。

これらの影響を確認できるのが今回の霊学全集です。大石凝の著作は大正年間に大本教の機関紙に一部が発表されたほか、水野満年による私家版として全集かされ刊行されています。しかしいずれも非常に入手困難であり、昭和56年に八幡書店から復刊されるまでは稀書中の稀書ともいわれていました。

大石凝霊学全集 ケースと表紙

その昭和の復刊版も瞬く間に品切れとなり、今回の全集は平成17年に刊行されたものとなります。旧全集に収録した著述に加え、未公開だった著述をも併せて収録。構成も新たに組みなおした大石凝研究資料の決定版として刊行されたものとなります。

大石凝霊学全集 第1巻奥付

内容は、例えば第1巻では、多くの神道系教団に影響を与えた宇宙創造の秘奥を伝える「天地茁廴貫の極典」や、三種の神器の意義などを開示する「三種神器の御謂礼」、日本の弥勒信仰をはじめとする仏典に独自の霊学的解釈を加えた「仏説観弥勒下生経」「弥勒出現成就経」ほかを収録しています。同様に第2巻では天津金木の運用の秘法を公開した「天津神算木之極典」と「大日本言霊」を収録。第3巻では古事記の研究分野を大別分類し、独自の解釈を展開した「真訓古事記」を収録しています。

大石凝霊学全集 背表紙

古書店三月兎之杜では、神道の各種専門書の買取をお待ちしております。個人のお客様からはもちろん、図書館や神社、お寺の所蔵する各種学術書の買取も出張買取にて対応させていただきます。ぜひご相談ください。

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『西川寧著作集』全10巻 二玄社 トップ画像

20世紀を代表する書家・西川寧の著作集(全10巻揃)をお譲りいただきました。1902年(明治35年)に生まれ昭和が終わった直後の1989年5月に亡くなられた、まさに「昭和の三筆」の一人。「書の巨人」とも呼ばれ、現代書道に大きな影響を及ぼす強いインパクトのある作品を残しています。

また、金石や中国文学の研究にも勤しみ、西域から出土した木簡や帛書(絹に書かれた書)を書道史的に研究。古文書書家として初の文化勲章を受章しています。寧の父は明治から大正にかけての書の大家であり、寧自身も幼少時から父の集めた書跡や拓本を玩具替わりにして親しんでいたといいます。

昭和8年には父・春洞の系統を中心とする謙慎書道会(謙慎は春洞の堂号に由来しています)を創立しました。さらに寧の息子である西川杏太郎は美術史の研究家であり、日本彫刻史や文化財保存学を専門としていました。杏太郎は2023年に没していますが、1993年に発行された本書の編集にも参加しています。

本書では第1巻から第3巻にかけて『中国書法叢考』を収録。さらに第4巻の『西域出土晋代墨蹟の書道史的研究』では図版も最多点数の120点を収録。5巻は現代書考、以後雑纂(6~8巻)、周詩溯源/文苑(9巻)、展観解題/書論集成/書人輯略(10巻)など、寧の各著作や、中国および本邦の書論等を収録。

中国書史についてはもちろん、西川春洞から寧へと受け継がれ杏太郎が編んだ、明治から昭和にかけての近代日本の書史・書学の親子三代の集大成といえるでしょう。

『西川寧著作集』全10巻 二玄社 背表紙

古書店三月兎之杜では、書道に関する専門書の買取をお待ちしております。各種専門書の中でも書道関連書は、収録される図版も多くなりがちで、判型も非常に大判かつ分厚くなるケースが多いと思います。そのため荷造りや発送作業も大変なのですが、当社では量に応じて出張買取も行っております。ぜひご相談ください。

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投稿者:taguchi

ディズニー マジカルオーディオえほん

デアゴスティーニより刊行されています『隔週刊 ディズニー マジカルオーディオえほん』の1~80号をお譲りいただきました。この度は三月兎之杜にお売りいただきありがとうございます。

ディズニーキャラクターたちが総出で出演している絵本で、多くの作品を付属スピーカーを通して読み聞かせてくれる作品です。各フィギュアをマジカルスピーカーの上に置くとその作品の絵本を読んでくれる魔法のようなアイテムです。

刊行数に準じた作品が小さな子供がいる家庭から、ディズニーファンまで幅広い層から支持を得ているラインナップになっています。視覚的にどの作品を読んでいるかが一目瞭然で、人気が出る理由がよくわかりますね。

隔週刊 ディズニー マジカルオーディオえほん

マジカルオーディオえほん
創刊日2020年10月20日
完結日(全80号)2023年10月31日
総額(全80号)241,442円
増刊分(全130号)2025年予定
総額(全130号)331,392円(仮)

2020年10月20日より刊行された『隔週刊 ディズニー マジカルオーディオえほん』ですが、初陣を飾ったのは『ライオンキング』でした。知名度や絵本としての完成度も申し分ないので納得ですね。2023年10月31日に発売された80号で完結予定のシリーズでした。80号ではピーターパンでお馴染みの『ティンカー・ベル』が登場しました。ティンカー・ベルの誕生に焦点を置いた内容で、作品の繋がりも相まって、ピーターパンがより味わい深い作品になります。

集めて楽しいラインナップのシリーズでしたが、人気が高く延長が決定されました。全130号を予定されていて、順当に隔週で発売されるなら2025年10月前後に完結予定になるかと思います。

ディズニー マジカルオーディオえほん フィギュア

ディズニー マジカルオーディオ フィギュア

オーディオ用に登場するフィギュアは出来栄えが良く、絵本の内容について想像力を掻き立ててくれる造形です。作品の特徴を捉えていて、作品が飛び出してきているような内容です。

ディズニー マジカルオーディオ フィギュア②

人気作品が多く登場しており、知らない作品についてもマジカルオーディオで知り好きになることもあると思います。

ディズニー マジカルオーディオ フィギュア③

作品の内容が気になれば映像作品でストーリーを補完したり、ディズニーランドに赴き作品を堪能することも可能です。親子で楽しめる作品が多いですね。

ディズニー マジカルオーディオ フィギュア④

改めて作品群をフィギュアから眺めると作品数の多さに驚かされます。ディズニーの歴史が始まりちょうど100年が経ちましたが、未だにディズニー作品が生まれているのを見ると人気と歴史に圧巻ですね。

ディズニー マジカルオーディオ フィギュア⑤

増刊号は主に人気作品を更に深堀するような内容となっています。原作を知りもっと作品を深く入りたいという方にもお勧めできるシリーズです。

古書店 三月兎之杜ではデアゴスティーニの買取を行っております。刊行途中や途中が抜けているシリーズも買取を行っております。

詳しくは、古書店三月兎之杜のデアゴスティーニ買取のページを是非ご覧ください。

デアゴスティーニの買取につきましてお気軽にご相談ください。

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皆様からのご相談を心よりお待ちしております。

投稿者:usagi

友清歓真全集 全8巻揃 八幡書店 トップ画像

明治生まれの宗教家・友清歓真の全集(全8巻揃)をお譲りいただきました。出口王仁三郎らによる大本教に所属。後に袂を分かち、自ら霊学の実践団体「格神会」(後の新宗教団体「神道天行居」)を設立。全集第1集に収録されている『霊学筌蹄』は、霊学の古典とも称され、三島由紀夫の『英霊の声』にも影響を与えるなどしています。

当初は雑誌「東亜評論」を発行するなどの政治運動をしていましたが、霊的方面に目覚め、密教や神道を修行し、たびたび山籠もりをするようになります。
大本教の政治的主張に共鳴し、浅野和三郎を介して大本教へと入信。機関紙の主筆となるなどその才覚によって浅野と並ぶ幹部として活躍していました。この時期に著した『皇道大本の研究』は、第一次事件前の大本の教義や当時の雰囲気を伝える貴重な一次資料でしたが、後に友清が離反して反大本の急先鋒となったことで、大本からも
天行居からもその存在をないものとして扱われることになります。同書は近年の復刻で再評価されます。

大本脱退後は、明治時代の神道家・本田親徳の弟子である長沢雄楯より本田の教えを学びます。長沢は出口王仁三郎の師でもあり、友清は大本を批判する『乾坤一擲』や『事実第一』などを表します。また、同じく本田の弟子の佐曽利清からは本田直伝の鎮魂法を学び『鎮魂帰神の原理及び応用』を表します。こうして大本批判のみならず独自の研究を進め、「格神会」結成に至りました。この時期に『鎮魂帰神の極意』『神仙霊典』などを表しています。

以後も格神会を「天行居」へと発展させつつ神道霊学の名著『霊学筌蹄』、その事実上の続編とされる『天行林』を著します。ほかにも『闢神霧』『古神道秘説』などを発表します。

友清歓真全集 全8巻揃 八幡書店 

今回の八幡書店の全集は1985年から1989年にかけて編纂されたものとなります。大本批判などの著作は除き、友清自ら立ち上げた格神会以降の著作や、本田親徳の遺稿や自身(磐山)の手記や語録なども収録しています。当全集と、同じく八幡書店からリリースされている『幽冥秘録 神仙霊典』そして『皇道大本の研究』などの著作とあわせることで、友清の歩みが俯瞰できるでしょう。

古書店三月兎之杜では友清歓真をはじめとする神道の各種研究書の買取ご相談をお待ちしております。大量買取にはご自宅に直接伺っての出張買取を承り中、まずはお気軽にご相談ください!
詳しくは、神道・古神道の専門書の買取ページをご覧ください。

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投稿者:taguchi

『パーリ仏典』片山一良訳 トップ画像

大藏出版刊、仏教学者の片山一良による訳の『パーリ仏典』シリーズをお譲りいただきました。ありがとうございます。

パーリ仏典は釈迦が説いた様々な説話をパーリ語で記したものとなります。説話とはいわゆる説法、悩みを抱く人に対しものの考え方を説いたり、あるいは様々なたとえ話を伝えることとなります。

釈迦入滅後、その教えは弟子たちの記憶や暗唱によってのみ受け継がれていくことになりました。しかしそれではやがて説法のかたちは薄れ、異説が混じったり、散逸する可能性があります。そのため弟子たちが集まり、各自の記憶をまとめての説話のとりまとめと記録・編纂が行われます。

その集まりを「結集」と呼び、1回目は釈迦の死後まもなく実施。マハーカーシャパやアナンダ、ウパーリといった釈迦に直接教えを請けた直接の弟子たちが編纂を手掛けています。2回目は入滅後100年頃、第3回は入滅後200年頃に実施されたといわれています。

その後南伝仏教でのみ、紀元前1世紀に第4回の結集が行われたとされています。ここまでは伝承の中の出来事ですが、1871年にビルマコンバウン朝の治世に第5結集が行われます。

そして現代に至り、1954年にビルマのヤンゴンで第6結集が実施されました。片山一良はパーリ語による原始仏教研究を専攻としており、今回お譲りいただいた『パーリ仏典』シリーズは、この時著された第6結集本を底本として訳しています。

『パーリ仏典』片山一良訳 第二期1 表紙

第1期全6冊は中部(マッジマニカーヤ)152経、第2期は長部(ディーガニカーヤ)34経を全訳します。そして第3期は相応部(サンユッタニカーヤ)を全10巻予定で全訳しますが現在(執筆時2024年1月)も刊行中で、2021年6月に9巻目となる大篇Ⅰが発行されました。

『パーリ仏典』片山一良訳 第3期3 表紙

今回は第1期全6冊、第2期1冊、第3期3冊というかたちでお譲りいただきました。刊行中ということもありますが、古書店三月兎之杜では全巻揃いでなくとも今回のように喜んで買取させていただきます。ぜひともお気軽にご相談ください。
古書店三月兎之杜の仏教書買取サイトはこちらです。

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投稿者:taguchi

日本神道史研究全10巻

1978年より1981年にかけて講談社から刊行された、神道学者・西田長男による「日本神道史研究」全10巻揃をお譲りいただきました。配本時に付属した月報もそろった状態です。ありがとうございます。

日本神道史研究 月報

西田長男は国学院大学出身。同大は神職の要請と古典研究のための教育機関だった皇典講究所を母体としており、まさに神道研究の専門機関です。西田は同大を卒業し、戦前は大倉精神文化研究所研究員、東京帝国大学講師を勤めました。

この間、内務省に勤務しつつ近代実証神道史学を確立した宮地直一に師事しています。西田の戦中の著作として「葉隠講話』(有精堂出版部)、「神道史の研究」(雄山閣)、「神道論」(躬行会・大倉精神文化研究所紀要)、「神々と国家」(明世堂)などを発表しました。

日本神道史研究1~5巻

戦後は国学院大学教授として教鞭をとり、1955年の「日本宗教の発生に関する一試論」でにて国学院大文学博士を取得。「日本古典の史的研究」、「日本宗教思想史の研究」、「神道史の研究 第2」(以上理想社)、「古代文学の周辺」(南雲堂桜楓社)、「神社の歴史的研究」(塙書房)を発表しています。

日本神道史研究6~10巻

このほか神道関連の書籍に「稲荷社の起源」「熊野九十九王子考」「岩清水八幡宮の剏立」「北野天満宮の創建」「輪島市重藏神社の如月祭」「春日大社の創立を一例として」などを寄稿。

日本神道史研究1巻

これらの長年の著作の結果として本著「日本神道史研究」はまとめられています。西田は日本人の創造的エネルギーの根幹として神道をとらえ、その本質と歴史を著しました。

「日本神道史研究」全体は総論編、古代編(上・下)、中世編(上・下)、近世編(上・下)、神社編(上・下)、古典編と、日本の神道を歴史的、学問的に俯瞰した構成となっています。西田博士の最晩年に著された、文字通りの集大成といえるでしょう。

古書店三月兎之杜では神道・古神道の専門書の買取をお待ちしております! 量が多い場合は出張買取いたします、ぜひご相談ください!
詳しくは、古書店三月兎之杜の神道の本買取ページをぜひご覧ください。

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岡潔先生遺稿集:第一集~第七集 トップ

数学の多変数函数論の研究における世界的な第一人者、岡潔。1901年に大阪に生まれ、1925年に京都帝国大学講師、1929年には同大学助教授となります。この時代の岡の講義をのちのノーベル賞学者、湯川秀樹や朝永振一郎らも受けており、(専門である)物理学よりも刺激的であったと語っています。

1929年より3年間フランスに留学し、この時多変数函数論を生涯の研究テーマと定めます。以後二十年をかけて夜昼なく研究生活に没頭、その理論の骨格を一人で完成させます。この研究の過程で当時未解決であったハルトークスの逆問題を解決し、世界中の数学者の注目を集めました。このほかにもクザンの第2問題という難問の解決に関する「岡の原理」なども発表しています。

研究者であると同時に教育者としても優れ、先述のように湯川博士らから高い評価を受けています。日本人の発想・思考については、西洋的インスピレーションよりも東洋的な情操や情緒を大切にすべきと提唱しています。数学以外の随筆でも『春宵十話』などの作品を残し、歴史においても神代から敗戦に至るまでを体系づけた日本人観を持ち、そうした歴史観に基づく教育論を展開しました。

それらの考え方は敗戦後の日本人のアイデンティティ形成にも影響したのではないでしょうか。ラジオやテレビ番組にも出演する機会が多かったようで、晩年の肉声のアーカイブなども残っています。芭蕉や万葉集の和歌なども引き合いに出し、西洋人にとっての自然が自分の外に対立するものとしてあるのに対し、日本人が内なる自然として捉えていることを語ります。

そうした日本人と自然の在り方から、岡自身の心のうちにある数学との向き合い方に繋がっていたと述べています。その音声ではこうした情操的な研究のあり方が当時(昭和30年代)の日本では足りなくなっているという意見でしたが、現在ではよりその希薄さが痛感できるかもしれません。ちょっとコスパだのタイパだの、合理的でありすぎることは果たして研究を突き詰めることにプラスになるんでしょうかね(個人の意見です)。

氏は生前に数学に関する十の論文と一つのノートを発表していますが、それ以外にも多くの未発表作品をノートにとどめていました。今回お譲りいただいた「岡潔先生遺稿集」は、氏の未発表の作品を弟子筋にあたる方々がまとめ、清書した肉筆出版物です。

序文を書いている西野利雄は90年代に「多変数函数論」という岡潔の功績に関する著作を発表しています。岡の死の直後、未発表論文の重要性に目をつけ、肉筆というかたちでまずまとめたその意義は、もしかしたらこれからの未来における発見にもかかわっていくのかもしれません。

古書店三月兎之杜では、数学書に限らずあらゆる分野の学術書に注目しています。ご家族が買った「なんだか難しい本」の買取のご相談をお待ちしています!

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投稿者:taguchi

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旧年中は大変お世話になりました。
混沌とする世界、でも、わたしたちは読書という武器があります。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

投稿者:usagi

URECCO 90'sバックナンバー1

1986年にアイドルグラビア誌としてミリオン出版から創刊された『URECCO|ウレッコ』と、同誌から2002年に派生するかたちで創刊したギャルメイクモデル中心の『URECCO gal』、増刊号となる『COSPET』をお譲りいただきました。

『URECCO』に登場するアイドルはセクシー系タレントやAV女優をスタイリッシュに撮り下ろしたグラビアが中心の構成でした。

URECCO 折り込みポスター

しかし末期はエロ方向へと方向性を変え、2007年に休刊します。最後の4冊は発行元が大洋書房に替わっていますが、両社は関連会社です。URECCOの頃は別社屋だったようですが、2010年代には同じ九段下の大洋ビルに同居していました。

URECCO 90'sバックナンバー2
URECCO 90'sバックナンバー3

同誌を発行していたミリオン出版は『URECCO』のほかにも90年代にはいわゆるお菓子系の先駆けとなった『クリーム』など、アダルトジャンルを中心とした出版社です。(ちなみに『クリーム』などのお菓子系は買取不可です

しかし1986年にツーリング雑誌『アウトライダー』、1989年にレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』、1994年にはサブカル系雑誌『GON!』、1995年に元祖ギャル雑誌『egg』を創刊するなど、多彩なジャンルを展開していきました。

2000年代には『GON!』から派生するかたちで『実話ナックルズ』が創刊。また、「トランスフォーマージェネレーション(当初はケイブンシャ刊ムックの再版、のちに不定期刊行化)」シリーズなど、ホビーやコミックジャンルにも進出しています。

URECCO galバックナンバー

しかし2010年代に入ると社内体制の変更などに伴い、非アダルト向けブランド「グライドメディア」を三和出版傘下のメディアボーイに譲渡。トランスフォーマージェネレーションや昭和のヒーローものを中心とした復刻漫画をリリースしていた「ヒーローX」ブランドも、メディアボーイ、そして現在は竹書房に移行しています。

表4 奥付

エロスからオタク、モーターサイクル、アウトローまで、けっして大手とはいえない規模ながらも様々なメディアを創出したミリオン出版。最終的には2018年に母体である大洋図書に吸収され解散となりましたが、その魂は現在も様々なかたちで連綿と続いています。

そうした出版社や編集者に焦点を当てて、お手元のエロ雑誌を眺めてみても面白いかもしれませんよ?

URECCO、URECCO増刊 cospet

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投稿者:taguchi