(上編よりつづく) 『土佐日記』は笑いと友愛にみちた地方=土佐から、空虚で暗い夜の都への絶望的な帰還を描いている。まるで竹取の翁と媼が、かぐや姫を月の世界に追…

(上編よりつづく) 『土佐日記』は笑いと友愛にみちた地方=土佐から、空虚で暗い夜の都への絶望的な帰還を描いている。まるで竹取の翁と媼が、かぐや姫を月の世界に追…
中学生のころだろうか。倉多江美のマンガを読んだ。主人公の少年(青年?)がカミュの『異邦人』(1942)を読み、「太陽が黄色かったから、ひとを殺す」ことに、ずう…
「毎日暑い、暑い」という声を耳にする。札幌市の猛暑日(最高気温摂氏35度以上を観測した日)が今年は今のところ3回。8月23日は観測史上最高の36.3度が記録さ…
あの長く暗い冬の日々を思い返す。すると、こうして夏の光と風につつまれてサイクリングなどしているわが身は……まるで……夢のなかで生活しているような気がする……。…
(前編より続く) さて、このような関心から最大に注目すべき物語の巻は「野分(のわき)」である。おそらく、この巻はせいぜい「夕霧(源氏の息子)が紫の上をかいま見し…
表向きのコロナ収束ムードのおかげで、いろいろな日常が戻ってきている。もっとも、収束は「表向き」「ムード」にすぎない。第9波がはじまったという報道もある。感染が…
わたしは長編小説が好きである。 「さあ、読むぞー」と思って、コーヒーとチョコチップクッキーを用意し、19世紀西欧の分厚い翻訳小説のページを開く。ふかふかのソフ…
マスクをしなくてよくなり、夜の店も通常営業だ。ひさしぶりにカラオケのある店(カラオケ・スナック)に行った。音楽や歌が好きなのだ。 札幌で歓楽街――といえば、ス…
4月。 新年度がはじまった。学校でも職場でもフレッシュな気分で、新しいものごとに挑戦していく時節だ。わたしも職場や労働環境が微妙に変化した。しかし半世紀以上、…
「♪春よこいこい、春よこい」 そう祈りつづけたおかげか、ほんとうに春が来た! 例年より1ヶ月早い。まだ3月だが、気温は4月並みで推移している。連日のプラス気温…
古書店三月兎之杜より執筆者のご紹介
作家。2000年に「大森滋樹」名義で「物語のジェットマシーン―探偵小説における速度と遊びの研究」で第7回創元推理評論賞佳作入選。
探偵小説研究会に所属し、ミステリの評論活動をはじめる。『ニアミステリのすすめ―新世紀の多角的読書ナビゲーション』(原書房)、『本格ミステリ・クロニクル300』(原書房)、『本格ミステリ・ディケイド300』(原書房)、『日本探偵小説を読む』(北海道大学出版会)、『日本探偵小説を知る』(北海道大学出版会)に共著者として参加。現在、北海道新聞日曜書評欄「鳥の目虫の目」を3~4か月に1度、持ち回りで執筆している。
2013年に「大森葉音」名義でファンタジー小説『果てしなく流れる砂の歌』(文藝春秋)を上梓し、小説家としてデビューする。2015年には本格ミステリ『プランタンの優雅な退屈』(原書房)を刊行している。
地元札幌の豊平川サイクリングコースを自転車で走り回るのを楽しみとする。