心もお腹も満たされるワンダーランド~神田古書店街・@ワンダー~|第6回 黒田研二 エッセイ

 皆様、こんにちは。
 毎年、この季節は雪国へ出かけまくってスキーを楽しんでいる黒田です。……が、今シーズンはいまだかつて経験したことがないくらいのスペシャルな暖冬。どこのスキー場も雪不足で、なかなか出かけることができません。
 こうなったら仕方ない。この冬は雪山ではなく、古書店に出かけて本の山に埋もれたいと思います。ただ、どちらも突然のなだれには注意が必要ですが。
 さて。神田古書店街を巡るシリーズもついに最終回。たくさんの古書店を訪れて、お腹も空いてきた頃だと思います。というわけで、今回は美味しいご飯も食べられる古書店へGO!
 ……おっと。その前に、神田古書店街周辺にある古書店以外のオススメスポットをいくつかご紹介しちゃいましょう。神田古書店街へやって来たら、こちらもぜひぜひ訪ねてみてくださいね。


「夏目漱石の碑」

 前回紹介した「玉英堂書店」からJR御茶ノ水駅側へ徒歩数分。お茶の水小学校(旧・錦華小学校)の前に立つ石碑です。この小学校は夏目漱石の母校。誰もが知っている漱石作品の有名な一文が刻まれています。


「クラブライブラリー」

 神保町の交差点を北上すると見えてくる「日本出版クラブ」。エスカレーターをのぼった先に広がる超ゴージャスな書棚は一見の価値あり。日本書籍出版協会、日本出版クラブに所属する全国の出版社約300社から寄贈された「未来に残したい本」約8000冊が陳列されています。こんな書棚、我が家にもほしいものです。


「お茶ナビゲート」

 JR御茶ノ水駅東口のすぐそばにある御茶ノ水ソラシティプラザ内にある観光案内所。タッチパネルモニタで神田古書店街周辺のお店や名所を選び、あなただけのオリジナルマップを無料で作成することができます。これはオススメ。


僕も作ってみました! これ、古書店街へ行く前に作っておくと、なかなか便利ですよ。

 さーて、今回オススメする古書店は、ぼくの作ったオリジナルマップにも記載されたこのお店!


「@ワンダー」

 マップでは「20世紀の記憶装置」と紹介されています。これは楽しみ(ワクワク)。


店内に入ってまず目に飛びこんできたのは、レジ横に置かれたSF&ミステリのレア本たち。


奥へ進むと、国内、海外のミステリ小説がずらりと並んでいます。


ハヤカワポケットミステリはナンバー順に陳列。


〈ミステリマガジン〉も〈EQMM〉時代のものから置いてありました。

 うひゃあ、すごいすごい。ミステリ好きにはたまりませんよ。もしかしたら、神田古書店街でもっともミステリ小説の充実したお店なのではないでしょうか(あくまで僕の個人的な見解。根拠はありません)。


店の一番奥は映画コーナー。ポスター、パンフレット、チラシなど品揃え豊富。

 ほかにもスポーツ系の書籍、コミックなどが多数取りそろえられていて、ここはまさしくエンターテインメント系の宝庫。どこもかしこも魅力的で、あれこれ目移りしちゃいました。


……おや?

 どうやら2階はカフェになっているようです。お腹も空いてきましたし、ちょっと立ち寄ってみますか。


「@ワンダー」の2階にある「ブックカフェ二十世紀」へ。


中央にテーブル。壁際には書棚が。


書棚にはアメコミがぎっしり。

 をををを。これは面白い。
 壁一面を埋め尽くしたアメコミ本。独特なタッチの表紙がインテリアの一部となって、カフェの雰囲気にうまく溶け込んでいます。ここはアメリカ? と思わず錯覚するくらい。ちょっとした海外旅行気分を味わえちゃいますよ。


店員さんイチオシの「キーマ&ビーンズのカレーライス」(650円)を注文。ドリンクセットはプラス200円。昼12時までの注文ならドリンク1杯無料サービス。

 うまいっ!
 豆のカレーって、普段あんまり食べないから、一瞬にしてアメリカン気分が倍増。いや、豆カレーがアメリカンなものなのかどーかよく知らないけどさ。
 カレーライスはほかにスパイシーポークやシーフードがあり、さらにピザやトーストなども注文できて、美味しい昼ご飯を満喫できます。


食後のデザートも充実。今回はカロリーを気にして食べませんでしたが、次回来店時は必ず。

 書棚に並んだアメコミを手に取りながら、食事を楽しむのもOKなのだとか。とはいえ、並んでいる商品は古書でありながらどれも美品なので、カレーを食べながらページをめくる勇気はなかなか持てませんでしたけどね。
 いや、手に取らなくても、表紙を眺めているだけでホント幸せな気分になれます。
 そんなわけで、カレーもぺろりと完食。ごちそうさまでした。
 1階でたくさんの古書や映画グッズを見て、2階でアメコミを眺めつつ美味しいカレーを食べて……心もお腹もすっかり満たされた黒田でしたが、お楽しみはこれだけでは終わりません。


 店の外には特価コーナーが!

 外壁を埋め尽くす特価本の数々。こちらの品数もハンパじゃないですよ。ジャンル別に整理されているので、目的の本を探すのも楽チンです。
 いやあ、楽しかったあ。誰でも気軽に立ち寄ることができて、必ず気になる古書が見つかり、しかも美味しいものまで食べられて……店名が示すとおり、まさしくワンダーな空間でした。
 神田古書店街の魅力を紹介するシリーズはこれにていったん終了。来月はどこの古書店にお邪魔しようかなあ。皆様からの古書店情報もお待ちしております。

《今回、お世話になった古書店さま》
 @ワンダー
 定休日なし 11:00~19:00(日祝~18:00)
 東京都千代田区神田神保町2-5-4開拓者ビル1・2階
 http://atwonder.blog111.fc2.com/

《今月のくろけん》
 しつこいですけど今月も宣伝。家族の絆を描いた心温まる短編集『家族パズル』(講談社)、発売中です。可愛い犬の表紙が目印。皆様、どうぞよろしく。
 http://kodansha-novels.jp/1912/kurodakenji/<

黒田研二

黒田研二(くろだ・けんじ)
作家。出版社勤務を経て、2000年『ウェディング・ドレス』(講談社)で第16回メフィスト賞を受賞してデビュー。主な著作は『今日を忘れた明日の僕へ』(原書房)、『カンニング少女』『キュート&ニート』(以上文藝春秋)など。近年は『逆転裁判』『逆転検事』のコミカライズ(講談社)、『真かまいたちの夜』のメインシナリオ、『青鬼』のノベライズ(PHP研究所)など、ゲーム関連の仕事が中心。得意なスポーツは水泳、スキー。好きなものは柴犬、アイドル。
Twitter:https://twitter.com/kuroken01

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