『梶井基次郎全集』を買い取らせて頂きました(筑摩書房)

梶井基次郎全集

筑摩書房より発行されました『梶井基次郎全集』(全3巻+別巻1冊揃)をお譲りいただきましたのでご紹介いたします。

皆さんの中にも教科書で作品を読んだ事があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか? アニメにもなりました作品『文豪ストレイドッグス』にも登場していたりと、最近でも名前をよく聞く作家さんですね。短命で作品を余り残せなかったのが非常に惜しいのですが、残された短編はどれも数珠玉の名作でノーベル文学賞を受賞している川端康成や三島由紀夫など名だたる文豪に高く評価されています。そんな梶井基次郎の作品を集めた全集になります。

梶井基次郎全集 1巻

こちらの全集はただ作品を収めているだけでなく、当時の草稿も収録しているため、梶井基次郎が当時何を考え、どのようにあの幻想的な文章を書いていたのかの一端を知る手掛かりになると思います。梶井基次郎も何度も推敲を行い文章を整えていったとは思いますが、あのような文章になるためにはいったい何回推敲を重ねればいいのやらと興味があります。まるで彫刻のように少しずつ形になっていく文章を眺めるというのも読書とはまた違った趣があって良いものです。滅多に文豪の草稿を目にする機会は無いのでこういった全集を手に取った時にでも見てみるといいかもしれません。

第一巻には勿論代表作の『檸檬』を基本に数編と随筆を収録しています。改めて『檸檬』を読んでみますと、非常に短い作品ながらその文章の流暢さ、簡潔ながらその場面を想起させる巧みな言葉の使い方など、完成度の高さに驚かされますね。昔あんなに好きだった場所が、ある時から急に苦痛を生むだけの辛い空間になってしまうというのは人間誰しも経験がある事だと思います。その理由は千差万別ですが、兎に角何か悩みや苦悩を抱えてしまっていると、何もかもが敵に見えてきてしまうものですよね。作中の「私」は果物屋で見つけた檸檬からきっかけを得て想像上のテロリストになることで鬱屈とかそういったものを少しだけ解消することができるのですが、皆さんにもきっと自分だけの解消法というものが存在しているのでしょう、それはどのような方法なんでしょうか? この『檸檬』という作品はそういった個人個人の些細な反抗の一場面を見事に描き切きった傑作だと思います。
個人的にはこの第一巻に収められている『Kの昇天』という作品も、非常に幻想的かつミステリアスな雰囲気があってオススメです。何故Kという人間が死んだのかを推理するというある種ミステリー小説のようでもある作品ですがそこは梶井基次郎、理知的な推理が起きるのではなく幻惑的推理が繰り広げられ、文章にドンドン引き込まれていきます。梶井自身も重い病を若くして患い、死を意識しているからかKの痛切な思いはそのまま梶井の気持ちも重なっているように思います。

梶井基次郎全集 背表紙

薄命の文豪梶井基次郎の作品を集めた全集のご紹介でした。


三月兎之杜では全集の買取も行っております。
近年の読書事情の問題などで、お値段をお付けするのが難しい本もありますが、まだまだ価値の付けられる本は数多くありますので、まずは当店に気軽にご相談ください。

古書店三月兎之杜の詳しい全集の買取事例はこちらから。

メールでのご相談は、こちらのお問い合わせページより
ラインでのご相談は、こちらのらくらくLINE査定ページより
お電話でのご相談は、フリーダイヤル:0120-996-504(10-20時/年中無休)
までお願い致します。 皆様からのご依頼を心よりお待ちしております。 どうぞ宜しくお願い致します。

よろしければシェアお願いします