本のイベント|第35回 千澤のり子 エッセイ

 今年の9月最後の日曜日は、本格ミステリ作家クラブの20周年記念名古屋イベントのお手伝いで遠征するはずでした。コロナ渦のため中止になってしまい、とても悔しい思いをしています。
 本は読むだけでなく、イベントもよく行われていて、私もよく参加しています。
 なかでも印象に残っているのは、本格ミステリ大賞の受賞記念トークショーです。
 毎年行われているので第1回から開催されていると思われがちですが、初めて行われたのは、道尾秀介『シャドウ』が小説部門、巽昌章『論理の蜘蛛の巣の中で』が評論研究部門を受賞した第7回でした。
 そのとき、私はまだ会員でなく、ネットのミステリ好きの友達と一緒に申し込みました。壇上の方々を見て、「本物の作家さんだぁ」とため息をついていました。お宝抽選会では、前日に行われたパーティーのサイン色紙をゲット。同じ探偵小説研究会員ですが、大先輩の巽さんには、ご著書にサインもいただきました。 

 それから、本格ミステリ作家クラブに入会し、第14回のトークショーでは『スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ』で小説部門を受賞した森川智喜さんの推薦者として登壇、数年後には、お宝抽選会で自分が司会を担当するとは思ってもいませんでした。
 イベントは、同じ趣味の方と遊びに行くきっかけにもなります。喜国雅彦・国樹由香『本格力』のトークショーには、作家仲間の天祢涼さんと見に行きました。数年経っても、「楽しかったよね」と話題に上がります。

 私は翻訳家の夏来健次さんとも、連れ立ってあちこちのイベント行っています。H・P・ラヴクラフト聖誕祭に行われた『ネクロスコープ 死霊見師ハリー・キーオウ』訳書刊行祭は客席にいました。親しい方が登壇されている姿を見るのは、感慨深いものがあります。

 客席で出会った方と仲良くなることも少なくありません。
 作家の稲羽白菟さんも、その中の一人です。きっかけは、千街晶之編著『21世紀本格ミステリ映像大全』の刊行記念トークショー。私の前の席に、デビュー前の稲羽さんが座っていたのでした。どこかで見たことのある方だなあと、終了後に声をかけてから意気投合。その後、別のビブリオバトルイベントでたまたま席が隣同士になったこともあり、今ではかけがえのない朋友です。
 もっといろいろな人と交流をしたいという思いから、昨年は「NSK」という名古屋書店員懇親会にも参加しました。本にかかわる仕事をしている(していた)方々の集いです。遠征は心細かったですが、本格ミステリ作家クラブの事務局長・太田忠司さんがいらっしゃるから大丈夫と勇気を振り絞りました。くじ引きで決まった席は初参加が多く、作家の越尾圭さん、各務原からいらっしゃった書店員さんとは、現在でもネットを介して仲良くしてもらっています。
 NSKでは、「新日本ハンバーガー協会」の会長という方にも出会いました。最近東京に転勤になり、ミニ歓迎会を開いたら、イベント企画が持ち上がりました。
それが、10月3日(土)19時から行われるZOOMイベント「ハンバーガー×謎解きミステリー! ハンバーガー男爵からの挑戦状」です。
 3人のミステリ作家が、指定されたハンバーガーショップに関する書き下ろしショートショートを持ち寄り、朗読家のかふぁさんが読み上げるという内容です。
 他の作家は、稲羽白菟さん、汀こるものさん。こるものさんとは、互いにデビュー間もない頃、「絶対仲良くなれそう」とパーティーの席で編集さんから紹介された仲です。『人狼作家』で一緒に仕事をしましたが、同業者という感じがしません。
 果たしてどんなイベントになるのでしょうか。まだお席は空いています。
 ちょっと宣伝のようになってしまいましたが、本に関するイベントは、書籍を数倍楽しめる、そんな魅力を持っていると思っています。

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