宅配買取にて全集をお売りいただきました(福井県小浜市より)

今回、お売りいただきましたのは新版の『(夏目)漱石全集』 全29冊揃です。

私が好きな漱石作品はこちら「道草」。

夏目漱石の唯一の自伝的小説です。漱石が人世に悩んで悩んで悩みぬいて生まれた最高傑作だと思います。

主人公の健三(漱石自身)が小説家になり、本が売れ出した途端に疎遠だった養父や義理の姉、兄、事業に失敗した妻の父までが金をせびりに何度も来て、健三が困り果てるという、読んでいて辛くなる作品ではあります。そして漱石の人間の心理描写の書き方が本当にリアリティに富んでいるので、健三の内に秘めた怒りがひしひしと伝わってきます。

文中に書かれている、
「離れればいくら親しくつても夫切になる代りに、一所にゐさへすれば、たとひ敵同志でも何うにか斯うにかなるものだ。つまりそれが人間なのだらう」
漱石が人間をリアルに描くせいでしょう、この言葉はとてつもなく響きました。 

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