書道の本買取事例『日本古写経集成』ほか

『日本古写経集成』ほか割本折本大量セット計55冊 トップ画像

現代では仏教経典の写経といえば心の平穏を得る手段として、観光地の仏寺などで行うことができますね。もともとの写経じたいも修行のための信心行為として以外にも、書道の手本として広く使われてきました。

今回お譲りいただきました中の『日本古写経集成』は、そうやって昔から書道の手本として使われてきた写経書を集めたものです。歴代の書に長けた人物による写経が多数含まれています。

『日本古写経集成』-『光明皇后發願一切経佛名経』

例えば第五巻の『光明皇后發願一切経佛名経』(写真上段中央)は光明皇后による手と伝えられているもの。聖武天皇の皇后として700年代に生きた人物ですね。書には書いた人物の人柄も映し出されるといいますが、歴史上の人物の人となりに触れられるかもしれないものが伝わっているのは素晴らしいですね。

藤原佐理・藤原行成

このほか平安時代の公卿で三跡とも呼ばれた藤原佐理と、現在(記事執筆時2024年3月)放映中の『光る君へ』の主人公・紫式部と同時代を生きた藤原の行成の真蹟帖(写真下段左から2番目)。筆跡や碑文を手本・鑑賞用に複写してきた法帖およびその研究書もお譲りいただきました。

集字聖教序

『王義之 集字聖教序』(写真上段、右から2、3冊目)は、玄奘法師の漢訳事業を称える太宗の序文と、高宗の序記に般若心経を加えた、碑に刻んだものの写しとなります。唐代には太宗の肝いりで王義之の書が蒐集されていましたが、この碑を建てた弘福寺の僧懐仁は、宮中に所蔵されていた王義之の墨跡から文字をピックアップし、石に写しました。

そのため集字聖教序は、王義之の書いた真蹟にかなり忠実な文字であるとされています。石に刻まれたことで原版として利用され、現代に残されたわけですね。事実、書の専門家の目から見た『集字聖教序』の文字たちは、王義之のリズミカルで品位の高い筆づかいを感じることができると評価されています。

『日本古写経集成』ほか割本折本大量セット1
『日本古写経集成』ほか割本折本大量セット2

そのほか北宋時期の拓本集、清朝末期の書家・呉熙載(呉譲之)の書など、文字通り古今東西・日本と中国の幅広い時代の書の手本だった55冊です。貴重な書物をありがとうございました。

古書店三月兎之杜では、各種書道関連書籍の買取ご相談をお待ちしております。書道の手本帖は古いものも多く(実際今回お譲りいただいた55冊は昭和時代のもの、昭和初期初版のものもございました)、保管状態も様々かと思います。大量の場合は直接ご自宅に伺う出張買取も対応しております。まずはご相談ください。

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