二玄社より出版された『古名硯』をお譲りいただきました。どうも有難う御座いました。
1巻:端渓硯 Ⅰ(たんけいけん)
2巻:端渓硯 Ⅱ
3巻:洮河緑石(とうかりょくせき)
4巻:歙州(きゅうしゅう)
5巻:澄泥・諸硯(ちょうでい・けんし)
上記5巻で構成されている、中国の古今東西に存在する、または存在した「古い名品の硯(すずり)」を集めた大型の図版です。
硯が好きな方に楽しんで頂けるのは勿論、歴史的資料としても非常に価値の有る内容です。しかし、昭和49年に限定1000部しか発行されていない希少な本で、欲しいと思ってもなかなか手に入りにくい書物となっています。
解説書もちゃんとついています。
硯を好き過ぎる愛硯家のことを「硯癖家(けんへきか)」と言ったりします。青山杉雨氏の硯に対する愛が溢れた文を読むことが出来たりと、単なる硯の図鑑というわけではありません。
誰でも一度は使ったことがある硯。一般的なイメージとしては「学校で使った黒くて四角い、墨をする道具」だと思います。しかし中には、極彩色の色づけがされていたり、繊細な彫刻が施された硯なども。ひとつの芸術ですよね。
こちらは<蓬莱硯>(ほうらいけん)。中国の仙境のひとつである蓬莱山の仙閣の彫刻が施されています。一般的なイメージの硯とは比べることもできません。磨った深い黒が仙閣の荘厳さを引き立てます。
良硯と名高い<洮河緑石硯>(とうかりょくせきけん)で、中国の甘粛省にある洮河という河川の底から採れた石で作られたものです。短い期間でしか採石が出来ず、その石が使われているというだけでも希少価値は高いのです。
ただ、そういうものなのだと知らないと写真だけではわからないですよね。ちゃんと解説書に背景などが記されていますので、十二分に楽しむことができます。
実際、洮河緑石硯で墨を磨ると、きめ細かな磨り心地で水が滑らかになり、よく伸びます。墨がまわるとどんな感じになるのか、どんな色になるのか、自分が磨ることを想像して見るのも楽しいものです。
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