本の整理について|第26回 千澤のり子 エッセイ

 人間が快適に暮らすため、いつかは本を処分しないとなりません。圧死しそうなほどのコレクターではないので、まだまだ私は大丈夫と思っていますが、定期的に所有本を見直しています。
 まずは絶対に取っておく本。
 一つは自分が関わった本です。自著や共著以外にも、無記名で執筆したものも含みます。情報誌の一コマに書いたものは、どれが自分の文章か分からなくなっていますので、そろそろ一斉に処分しそうな気がしています。
 それから、誰からもらったのかが分かっている本です。著者から直接いただいた本が多いです。突然プレゼントされた本もあります。三島由紀夫『潮騒』や小峰元『アルキメデスは手を汚さない』、星新一『おのぞみの結末』は、どんなにボロボロになっても一生大事に取っておくと思います。
 次に、お友達関係の本。かなりあります。買ってる、持ってる、読んでるとご本人に伝えることは恩着せがましいと思っているので、ほとんど言いません。ハードカバーから文庫になった場合は、買い直すこともあります。
 あとは、これは絶対に手に入らないかもしれないと判断した本は取っておいています。冊数は少なめ、100冊程度に留めるようにしています。中町信全冊はここに分類しています。立原えりかもいずれは全部入手したいと思っています。
 処分基準は以下のとおりです。
 複数持っている本。本は細胞分裂でもしているのでしょうか。まったく同じ作品が複数出てきたら、綺麗なほうを取っておきます。版元違いで持っている場合はどちらも残しています。
 5回以上読んだ漫画。ミステリ以外の漫画は、吉野朔実と手塚治虫だけ全部所有。あとは一作家三作品まで。なので、ミステリ以外の漫画はそんなに持っていませんが、代わりに電子書籍が恐ろしいことになっています。
 絶対に周りの誰かが持っている本も、申し訳ないと思いながら処分しています。大ベストセラー作品も、お友達関係でなければ持っていません。ミステリだから取っておくという縛りもこの分類ではしていません。アンデルセン『絵のない絵本』を処分してしまったのは後悔していますが、読みたくなったらすぐに買えるので、気にしないようにしています。
 本は活字だけでなく、料理や編み物、着物の本も相当な数がありましたが、先日、思い切ってほとんど処分しました。
 それでも、どうしても捨てきれない雑誌がありました。
『MERU』です。
 もともとジュニア向けのアイドル雑誌でしたが、廃刊される数年前から、簡単な料理・お菓子の雑誌になったのです。すごく好きだったので毎号買っていて、最終号のこの本だけ取っておいていました。
 特に好きだったのは、本田たくみさんのエッセイ漫画です。最初は読者投稿、徐々に人気が出て、連載まで担当した方です。当時から、私はメルヘンの世界が大好きでした。

 作らなくてもいいから好きな本は手元に残そうと、『絵本からうまれたおいしいレシピ』のシリーズも保管本に入れています。『ぐりとぐら』のパンケーキの作り方が載っている本なんて、ほかにはありません。『アルプスの少女ハイジ』の白パンのレシピもあります。この本からは時間がある時に作っていました。同様に、『オズの魔法使い』のメニューがあるから、『魔法使いたちの料理帳』も大事に取っています。まだこの本のメニューは作っていないので、楽しみにとっておきたいです。

 それから、捨てきれなかった料理本が、味の本とお弁当の本。
 味付けについては、私に料理の仕方を教えてくれたラーメン店の亡きマスターが「味付けさえ覚えれば、料理はなんでもできるようになるんだよ」とよく言っていました。

 お弁当は、今でこそ毎日のようにツイッターに写真をアップしていますが、最初は全然作れませんでした。この本を読んで、彩りの参考にして、野菜メニューも覚えていきました。
 こんな感じで整理をしていきますが、つい読みふけってしまうので、お片付けはまったく進みません。
 ゴミだけは捨てておこうかなという年末であります。みなさま、良いお年を。

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