田山花袋『田舎教師』と片岡鉄兵著『文学的紀行(相模書房・昭和15年)』

我が埼玉県羽生市といえば田山花袋の小説『田舎教師』の舞台でもあります。
その刊行は明治42年、「田舎の書店に出るのを待ちかねて購ひ、貪るが如く読んだ」のは当時16歳の片岡少年でした。そして29年後の昭和13年、小説の舞台巡りをしようと旅行の計画をします。
誘ったのは5,6歳年下になる二人、「文芸時代」の同人でもあった横光利一と川端康成でした。余談ですが川端は3年前の昭和10年に『雪国』を発表しております。ところが誘ったは良いのですが、横光も川端も『田舎教師』は何と読んでおらず、片岡曰く「あきれた」との記述あり・・・・・・。
 しかし旅行は実施され、電車で上野から熊谷まで、その先は行田市そして羽生市と車で巡り、最後は栗橋が終点となりました。
小説や映画の舞台をなぞろうとすることは、今も昔も変わりませんね。 今では古地図を持って現在の町並を散策しようという新しい楽しみもあるようです。
なお羽生駅前の建福寺に「田舎教師巡礼記念句碑」として3人の連名の句碑がありますので、ご興味のある方は是非訪れてみてはいかがでしょうか。

 

羽生市図書館/郷土資料館にある、田舎教師の文学碑です。
 
四里の道は長かつた。其間に青縞の市の立つ羽生の町があつた。
田圃にはげんげが咲き、豪家の垣からは八重櫻が散りこぼれた。
(田舎教師 冒頭文) 

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