東洋美術のコレクションを多数所蔵する京都の私立美術館、藤井斉成会有鄰館の印譜『有鄰館古印存』をお譲りいただきました。限定五十部、中国の春秋戦国時代からの印章を直接押印した、希少な原鈐本です。
有鄰館とは
有鄰館(ゆうりんかん)は藤井紡績の創業者・藤井善助(1873~1943)の蒐集物を保存展示するための機関です。日本の私立美術館の草分けでもあります。多くの企業の取締役社長や重役を務める実業家であり、村長や衆議院議員などの政治活動にも携わる傍ら、静堂の号を持つ中国古美術骨董の収集に勤しみました。そのコレクションは当初自邸内で公開されていましたが、大正15年に藤井斉成会を設立し広く公開されるようになりました。
有鄰館は国宝「春秋経伝集解」、「絹本淡彩毛詩大雅蕩之什図」をはじめとする国の重要文化財9件を収蔵。さらに中国の殷から清に至るまでの各時代の青銅器、仏像、書画、陶磁器など、収蔵展示品は多岐に渡ります。
その藤井有鄰館にて斉成会設立前の大正10年より主事となったのが、篆刻家の園田湖城(1886~1968)です。独学で秦漢印を学び森琴石(1843~1921)らと平安印会を興し、古官印の研究を進めます。園田は官印に投影されている当時の役人の人生に思いを馳せ、香を焚きつつ印譜を作成したと伝えられています。
藤田が蒐集し、有鄰館が所蔵する3300余りの古銅印のコレクションは質・量ともに世界屈指のものと評価されています。園田はそれらの古銅印を整理し、大正末期から昭和初期にかけて一部を実押した私家版を製作し、流布させています。
有鄰館古印存とは

今回お譲りいただきました『有鄰館古印存』は、平成4年の発行。かつて園田が私家版を流布させて以来、半世紀以上にわたって有鄰館の奥深くに眠っていた古銅印から300点を厳選。実際に押印した原鈐本として頒布されました。
印刷ではなく手作業ですので、部数もわずかとなっているわけですね。ケース(帙)に収められた全六巻を揃いでお譲りいただいております。
付属の案内状によれば古鈢(古璽:春秋戦国時代の印章)にはじまり秦印、漢印、三国印から南北朝印にいたるまでの官印、私印、肖形印、子母印などを、当時の有鄰館館長である藤井善三郎が厳選。過去に園田が編集した、『靄々荘蔵古璽印』との重複を避けるなどの配慮がなされている旨が記されています。
古書店三月兎之杜では、各種印譜の買取をお待ちしております。貴重な原鈐本は特に大歓迎、高額での買取をさせていただきます。まずはお気軽にご連絡ください。
▼書道書・印譜の買取例・買取の流れはこちら。










