古書店三月兎之杜にて買い取らせていただきました希少書より、『趙次閑印譜』をご紹介させていただきます。本書は清朝中期に活躍した篆刻家・趙之琛(1781-1852)の作品を収録した印譜となります。
中国印章文化の歴史
前回の『澂秋館印存』ではご紹介しきれなかった印章文化の歴史について少々お話します。
印章は西アジアで発祥し、そこから東西に伝わったといわれています。中国の歴史において印章が定着したのは戦国時代(紀元前5世紀~紀元前221)まで遡ります。政令などの発行者を示すなどの用途のほか、商取引における保証としても使われました。紀元前221年に全土を統一した秦の始皇帝は、それまでバラバラであった各国の文字を小篆に統一。印章の文字もそれにあわせていきました。
ちなみに中国戦国時代の印章は文字よりも動物などの絵をモチーフとした、「図像印」が多く用いられます。文字自体が未発達であったり、識字率の問題などもあったと思われます。先述の通り秦による中国統一以降も、図像印は六朝時代(222-589)頃まで使用されていました。
なお、図像印は中国の印章史的には途絶えましたが、日本の戦国時代に流行(?)したのか一時的に復活しています。後北条家の印では署名の枠上に虎が寝ていたり、武田信玄は龍の図案を印章として用いていました。
趙次閑について
本印譜の題である「趙次閑」は、印章の著者である趙之琛の字。趙之琛は篆刻家であると同時に書家、画家としても活躍しました。室号は補羅迦堂となります。
趙之琛は古来からの石碑などに刻まれた碑文を研究する金石学に通じ、その道の大家である陳豫鐘に師事しました。師と共に浙派(西泠印派)の西泠後四家に数えられています。
篆刻を記す刀法は陳鴻寿に師事。陳鴻寿のほか黄毅、西剛といった篆刻家の長所を融合させて玉に刻む方法を確立し、西泠印派の頂点を極めたとも評されています。ちなみに西泠後四家の一人でもある陳鴻寿の刀法は、「あたかも筆のように」印刀を刻んだと評されています。
書家としてはすべての書体に優れ、篆書、文書、行書、楷書において独自の様式を確立。画家としては山水画は元代の様式を踏襲。晩年は仏教に傾倒し仏像画も多く描いています。

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