1994年連載開始、現在(記事執筆時2025年8月)まで連載が継続している長寿マンガ『名探偵コナン』。今や国民的コンテンツの一つとなったその記念すべき連載第一回の掲載号をお譲りいただきました。ありがとうございます!
ゴン中山こと中山雅史(現:アスルクラロ沼津 監督)の若さあふれる表紙が素晴らしいですね。この前年にJリーグが発足。中山はすでに1990年から日本代表として活躍していましたが、彼の所属するジュビロ磐田はJリーグ初年度の開幕10チームには落選していました。しかし93年の日本代表としての活躍とともに、JFLにおけるジュビロ磐田の好調などとあわせ、テレビなどの露出も多く、そのオープンな性格と共に人気者となっていました。そして93年のジュビロ磐田もJFL1部で2位となって、翌年からのJリーグ昇格を決めます。
その表紙の隅で、『名探偵コナン』主人公・江戸川コナンの本来の姿である工藤新一が、ドヤ顔で真犯人を指さしています。本編も高校生探偵にして日本警察の救世主の華々しい活躍シーンからのスタートです。しかしこうした出だしは、従来の名探偵ものの定番所作を擦っていたわけですね。

途中経過ははしょりますが、第1話(FILE.1)のラストは小学生の姿になってしまった新一のカットで引きでした。このへん後述する「少年マガジン」の『金田一少年の事件簿』との差別化を、1話から明確に表していたといえるでしょう。
94年初頭はすでに92年10月から「週刊少年マガジン」でスタートした『金田一少年の事件簿』が話題になっていた頃でした。有名作品の名探偵を祖父に持つ高校生探偵という設定も斬新でしたし、「ジッチャンの名にかけて」のフレーズは、他作品でもパロディ的に使用される今でいうミーム的な広がり方をしていました。
事実、『名探偵コナン』は『金田一少年~』へのカウンターであったといって間違いないでしょう。それこそ冒頭の高校生探偵・工藤新一とかまんまじゃん!と思ったりもしましたが、そこにひとひねり入れて、さらに主人公を低年齢化させたのは見事なアイデアだったと思います。しかしまさか30年続くとは……いや、正確には30年経っても敵組織の正体が不明だとは……。
ちなみに『金田一少年の事件簿』の主人公・金田一一は成長し続け、現在も『金田一パパの事件簿』がコミックDAYSにて連載を続けています。永遠に小学生のコナンと対照的ですね。そのうち孫ができて名探偵・金田一耕助の孫の孫が活躍する時代が来るのでしょうか?「ジッチャンのジッチャンの名にかけて!」。
なお、この号の連載作品は下記の目次ページの通り。現在もサンデーおよび小学館の各雑誌で活躍する作家が多いですね。『俺たちのフィールド』を描く村枝賢一がゴン中山の物語も描くなど、Jリーグ推しの当時の世情が窺えます。

古書店三月兎之杜では、昭和から平成初期にかけての週刊少年マンガ雑誌の買取をお待ちしております! ●年分まとめてでも、人気作品の新連載やカラーページ掲載号、最終回掲載号など単刊でも大歓迎! 大量買取にはご自宅まで伺う出張買取も対応いたします、まずはお気軽にご連絡ください!