1980年代から1990年代にかけてのフランス書院発行のコミック文庫などをお譲りいただきました、ありがとうございます。
1985年に創刊した日本人作家による書き下ろし官能小説レーベル「フランス書院文庫」は、携帯性に優れた文庫サイズというアドバンテージで普及しました。当時の駅の売店などでもあの回るかごみたいなやつを真っ黒な文庫が埋めていたのを覚えています。
昭和から平成初期にかけて、まだ個人携帯端末などない時代など、普通に電車内の時間つぶしの道具は文庫小説でしたし、官能ものが強いのは世の常でした。
もちろん多くの人はカバーをつけたり裏返しにするなどして表紙と欲望をむき出しにするようなことはなかったのですが、一定数の剛の者は普通にそのまま読んでましたね。
スポーツ新聞やタブロイド判エロ記事などは自分で読んでいる時はいいのですが、その反対側を読み始めると官能記事面を車内に向けているおっさんも少なくありませんでした。
今の人はヒくと思いますが、正直80年代くらいにもなるとさすがにそうしたおっさん文化も眉をひそめられるようになっていきます。
さてお話をフランス書院に戻して。コミック文庫は当時隆盛をほこった美少女コミックの流れにのって1987年に創刊されました。
この頃の美少女コミックは、単価を高くできるA5サイズが主流でしたが、そこに安価コンパクトな文庫サイズで参入したかたちとなります。
今回お譲りいただいたコスモ出版トマトコミックスもそうですが、文庫コミックスというジャンルを切り開いたといえるでしょう。
さらに官能小説家とのパイプを活用し、特に初期に刊行されたものはフランス書院文庫の作家が原作・原案をてがけ、他の出版社などでも活躍している漫画家が作画を担当するケースが多くあります。
しかしそうした中で、今回お譲りいただいた森山塔の『あとは寝るだけ』などは、シリーズ第一弾(コミック文庫は7000番台からスタートしています)ながら原作者はなし。森山塔の別格ぶりがわかります。この時期の森山塔のインパクトについて語りたいのですがまたそれは別の機会に。
ちなみに1987年は32冊中18冊が原作付き、88年は53冊中同じく18冊が原作ものと、年々比率は減少していきます。
しかし88年に一冊目が出た 杉村春也原作、まいなぁぼぉい作画の景子先生シリーズは人気作となり、91年にかけて3冊がリリース。
94年の第4弾以降はXコミックスに移行し、全6冊がリリースされる長寿シリーズとなりました。今回お譲りいただきました『景子先生の課外授業』は記念すべきシリーズ第一弾ですね。ちなみに後半3冊はコミック文庫最終年となった1999年にコック文庫ブランドでも再販されました。
80年代後半から90年代いっぱいにかけての、じわじわとしめつける各種規制の中、様々なアプローチの作品を発行し続けたフランス書院コミック文庫。初期はケン月影やあがた有為など劇画タッチの作家も多かったのが、やがて美少女系作家がほとんどを占めていくようになります。シリーズを集めてみると、エロ漫画の歴史の一つの切り口が見えてくるかもしれませんね。
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もちろんフランス書院以外の官能小説、アダルト書籍も大歓迎です。
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