『故宮宋瓷図録』(発行:学習研究所/編:国立故宮博物院)の全巻揃をお譲りいただきました。大型図録と日本語解説の別冊がセットになっています。どうもありがとうございます。
学習研究所と国立故宮博物院がタッグを組んで発行された図録は「故宮蔵瓷」「故宮清瓷図録」などいくつかあります。いずれも研究の一環で、こちら『故宮宋瓷図録』も簡単に言うと後世に残すために瓷器の研究の一環として発刊されました。
厳選された美術品が展示される台北市の国立故宮博物院のその歴史は、長い長い中国の歴史からみるとほんの最近の出来事です。
ラストエンペラー溥儀が、明清朝に皇帝が使った宮殿「紫禁城」より退去させられ、所蔵されていた美術品を公開したことからはじまりました。
そのような博物院が所蔵する325点を収録した貴重な図録です。
故宮博物院は第二次世界大戦後に台湾の台北市に移され、耐震工事や改装などを行われ現在に至ります。
第一回刊行は『汝窯 官窯 鈞窯』。宋の五大名窯のうちの3つです。読み方は汝窯「じょよう」、 官窯「かんよう」、 鈞窯「きんよう」。残りの定窯(ていよう)、哥窯(かよう)も別の巻におさめられています。
5大名窯すべてを語ると長くなってしまうので・・・今回は「汝窯」についてだけ簡単にご紹介させてください。残りの4つはまた今度の機会に。
汝窯とは北宋末期に宮廷用の青磁を焼いた窯で、その窯で焼いた磁器のことも指します。
絵画や詩文に長けた皇帝・徽宗が作らせた最高峰の窯で、北宋滅亡と南宋成立によってわずか30年しか稼動されず、作品は世界で90点ほどしかありません。
昔は70点と言われていたのですが、実は持っているよという人が現れたのでしょうか?新たに出土されたのでしょうか?どこにあるか不明だった窯自体が発掘されたので、一緒に出てきたのかもしれませんね。理由はなににせよ、減るよりも増えるほうがイイに決まってます。
“しめった空の色”と言われる、青みがかった薄灰色というか、灰色がかった水色というか・・・なんとも言い表せない青色としっとりとした肌ツヤが汝窯青磁の特徴です。
ちなみに図録の表紙は汝窯の色をオマージュしているのではないかと個人的には思っています。汝窯でなくても青磁器は意識してるかもしれませんね。
汝窯の中でも特に貴重なのは「水仙盆」(すいせんぼん)。69万点を展示する国立故宮博物院ですらも5点しか所蔵しておりません。恐らく、水仙を生ける為の盆だったのだろうと言われていますが、実際のところどう使われていたかは実はまだわかっていません。ちなみに、わんちゃんねこちゃんのご飯入れ説もあります。
日本ではおととしあたりに大阪の東洋陶磁美術館で水仙盆の特別展が行われていました。現在も「平常展:中国陶磁、韓国陶磁、日本陶磁、鼻煙壺」が開催され、1点だけ水仙盆が展示されています。10月14日までの開催なので、終わる前に見に行きたいと思っております。
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